遅刻・早退と残業時間の相殺
何らかの原因で遅刻して普段より遅く出社したら、仕事が終わらなくて定時を過ぎても働きつづけた時。
早退して早く帰ったら、翌日にその分のツケが回ってきてやっぱり残業しなくてはならなかった時。
このような場合に、遅刻や残業によるマイナス分と、残業によるプラス分を相殺して処理する事は可能なのでしょうか?
遅刻と残業の相殺
遅刻した分労働時間が減っているのだから、その分まで余分に働いても残業にならない、という考え方は確かに成り立つと考えられます。
労働基準法においても法内残業、つまり一日の労働時間が8時間に満たない場合の残業分については割増賃金の支払いを義務付けてません。
従って遅刻した時間を残業時間と相殺することは合法と考えられます。
しかし、遅刻した事に対してペナルティなどを設定している場合は、相殺+ペナルティという処理をしてしまうと場合によっては不当と見なされる可能性もあります。
遅刻時間と残業時間を相殺するのであれば、会社は細かい処理の方法などを就業規則に記載しておく必要があるでしょう。
また、残業した結果労働時間が深夜に及ぶ場合は、その分については割増賃金が必要になります。
早退と残業の相殺
早退して減った分の労働時間を翌日の残業時間で帳消しにする、という方法も単にトータルの時間だけで見れば問題が無いようにも思えるかもしれません。
しかし、事はそう単純ではありません。
労働基準法では、他の日に何時間働いたかに関わらず、1日の労働時間が8時間を超える場合は法外残業隣、割増賃金の支払いを義務付けているからです。
残業日の労働時間が8時間を超えるとき
残業した日の総労働時間が8時間を超える場合は、
・早退した日の給料は、労働時間が減った分だけマイナス
・残業した日の給料は、8時間を超えた分に対して25%の割増
という処理が必要です。
従って、早退した時間と別の日の残業時間を相殺することは違法となります。
小さな会社やお店などでは、
「今日はヒマだから早く帰って、その分明日早く来てくれる?」
なんてい言われることもあるかもしれませんが、残業した日の給与計算が正しく行われているかについて目を光らせておいた方が良いでしょう。
残業日の労働時間が8時間を超えないとき
もともと1日の労働時間として設定されている時間が短い場合などは、残業しても総労働時間が8時間を超えない可能性もあります。
このようなときは割増賃金の支払い義務が発生しませんので、最終的に早退した時間を別の日の残業時間で補うような処理を行っても、違法行為とはなりません。
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労働基準法第37条