少額訴訟(本人訴訟)とは
裁判社会などと言われているアメリカ等と比べると、日本ではまだまだ「訴訟」という物が一般的ではありません。
訴訟なんて・・・弁護士さんを依頼したりして高額な費用や長い時間がかかるし労働者が起こすなんてとても無理!というイメージがありますよね。
確かに裁判や訴訟という言葉には大げさな響きがありますが、実は争う内容が金銭の支払いである場合は小額訴訟(本人訴訟)という便利な制度があるのです。
特に法律の専門家に依頼しなくても簡易裁判所の訴状用紙に必要事項を記入する事で利用する事ができます。
少額訴訟の内容
訴訟というと原告席、被告席、証言台などがあって裁判長が立っていて、「意義あり!」なんていうドラマのワンシーンを思い浮かべる人が多いと思いますが、少額訴訟は関係者が集まって、一つのテーブルを囲んで行われますので、精神的なプレッシャーが少ないと言えるでしょう。
通常の訴訟のように何度にも渡って行われるという事も無く、原則として1日で判決が下るという点も大きなメリットです。
手続きに必要な費用も格安でせいぜい数千円程度しかかからないため、通常の裁判の様に「未払い賃金を請求したいけど、費用や手間を考えると裁判は割に合わない」という理由で泣き寝入りしていた労働者にとってはなかなか有用な制度だと思います。
小額訴訟の利用法と注意点
少額訴訟を利用する場合の具体的な方法と注意点について、以下にまとめてみましょう。
手続きは簡易裁判所で
労働者が利用する場合は、会社の住所を管轄する簡易裁判所に出向いて手続きを行う事になるでしょう。
所定の用紙に必要事項を記入し、その内容が少額訴訟の要件を満たしていると判断されれば相手側に裁判所から訴状が送られます。
この時簡易裁判所は相手側に反論があればそれを文書で提出するように求め、更に原告である労働者はその文書に反論する文書を提出・・・というやりとりの後で、関係者が実際に集まっての話し合い(口頭弁論)が行われ、和解あるいは判決が言い渡されます。
勝訴しても相手が支払を行わなければ、裁判所の権限で強制執行(国家権力による強制的な取立て)を行なう事も可能です。
金銭の要求のみに利用できる
「少額訴訟」というくらいですから、争えるのは金銭の支払に関する内容だけです。また、請求できる額の上限も60万円と定められています。
(60万円を超える請求をする場合、複数回に分けて行うことは可能です。)
証拠は確認が容易なものに限定
一日で判決が下る制度ですから、証拠はその日のうちに内容が認出来るものに限られます。
通常の訴訟に移行される場合もある
訴えた相手が通常の裁判を求めたり、訴えの内容が複雑だと判断された場合は通常の訴訟に移行される事があります。
この点を踏まえたうえで、状況を見極めて利用する必要があるでしょう。
相手側に支払い能力が無いと無意味
お金が無い相手に請求しても無意味なのは、支払督促等と同様です。
(管理人へのご連絡は不要です)
民事訴訟法第368・381条