ストライキの権利とは
業績がいいのにいつまでたっても給料が上がらなかったり、会社の制度に不満があったりしても、それが完全に違法と判断できるものでない限り、労働基準監督署などに助けを求めることは出来ません。
また、会社の行っている事が何らかの労働基準法違反などに該当するとしても、それを公的な機関が指導・解決してくれる事をいつまでも待っていられない!という場合もあるでしょう。
そんな時、交渉のための伝家の宝刀になってくれる可能性があるのがストライキ権、いわゆるストの権利です。
ストライキとは
まずは、そもそもストライキとは何なのかについて簡単に確認しておきましょう。
ストライキとは簡単に言うと、労働者によって結成された労働組合が「働く事を拒否する」事によって会社(雇用者)に対して圧力をかけ、交渉を有利に進めようとすることです。
普通に考えると、
仕事をしない=業務放棄
と解釈されて懲戒処分の対象になったりしますが、ストライキに関しては一定の条件を満たす事で、「働かない権利」が法律によって認められるのです。
従って、正当なストライキに参加した労働者に対して会社が懲戒処分を与えたり、働かなかったことにより発生した損害を賠償させることはできません。
正当なストライキとは
それでは、ストライキが正当と見なされるために必要な条件についてまとめてみましょう。
ストライキが禁止された職業でないこと
公務員や公共企業の労働組合には、もともとストライキの権利が認められていません。
労働条件と直接関係するものであること
賃金アップや労働時間の短縮のように労働条件に関わることの交渉のためにストライキを行う事は出来ますが、政治的な問題や社会運動、宗教活動のためのストライキは正当とは見なされません。
動機が社会的に見て妥当であること
いくら労働者にストライキ権があるとは言っても、会社とロクに交渉もしないでいきなりストを決行したり、会社がとても対応できないような無理な条件を提示してストを行ったりすれば、これも正当なストとは認められません。
例えば給料アップを会社に要求するのであれば、まずは会社に常識的な範囲できちんと要求を申し入れることが前提です。
そして簡単に折り合いがつかなければ話し合いの機会を持ち、交渉が決裂してストライキを行う場合でも「○○日までに聞き入れていただけなければストライキを行います」と、予め宣言しておく必要があるでしょう。
暴力や乱闘などの行為を含まないこと
ストが実力行使のための手段であるとは言っても、集団で乱闘を起こしたり暴力を振るったりすれば、正当なストライキとは認められません。
それどころか暴力行為は立派な犯罪ですから、損害賠償の責任や刑事罰の対象にもなります。
会社や事業所の施設や備品などを汚損・損壊させないこと
例えば建物のドアを壊したり壁などにペンキで文字を書いたりする行為も、交渉というよりは非合法的な脅迫・強要と言えるでしょう。
これらの行為を含む場合も、当然ながら正当なストライキとは見なされません。
(管理人へのご連絡は不要です)
日本国憲法第28条
労働組合法第1・7・8条