あっせん制度とは
労働者と会社(雇用者)の間に起きた問題を解決するための仕組みとして、あっせんという制度が存在します。
あっせんとは元々「間に入って双方の仲を取り持つ」というような意味で、ごく簡単に言うとケンカの仲裁のようなものです。
あっせんの仕組みと長所・短所などについて下記にまとめてみましょう。
あっせんの概要
労働者個人と会社の間で意見の食い違いがある場合に、両者が直接話し合うのではなく、まず紛争調整委員会という期間に所属する労働法の専門家(あっせん委員)が間に入って双方の意見を聞きます。
次にあっせん委員はそれぞれの意見からあっせん案を作成し、労働者と会社の両者に提示するというのがあっせんの基本的な流れです。
あっせんは意見の対立を解決するための制度なので、小額訴訟や支払い督促のように解決できる内容が限られているといったことが無く、職場でのあらゆる意見の食い違いに利用できるのが特長です。
あっせんの長所
あっせんの長所として挙げられるのは、何といって基本的に費用がかからず、裁判などと比較して時間もかからないことです。
意見の聴取にかかるのは数時間程度であることが普通で、会社や上司と直接話し合う必要も無いのでいじめや人間関係が問題になっているような場合でも心理的なプレッシャーが軽減されるでしょう。
裁判のように公の場で争うものではないので、プライバシーも保ちやすいと言えます。
労働基準監督署に様々な相談を持ちかけた場合、話し合いの場としてまずあっせんを薦められることも多く、あっせん委員の存在によって当事者同士で意見をぶつけ合うよりも問題が解決しやすいので利用する価値は大いにあると思います。
あっせん制度は労働局の管轄業務なので、利用したい場合は労働基準監督署又は労働局に問い合わせてみてください。
あっせんの短所
あっせんに応じること自体に法的拘束力は無いため、参加を拒否したり、又はあっせん案を拒否することも自由なため、初めから話し合う意思を持たない相手に対しては効果を発揮できません。
ただしあっせんによる話し合い自体を拒否すると、後に裁判に発展した場合に不利な材料となる可能性があるので、あっせんを持ちかける事自体が全くの無意味とも言い切れないと思います。
ただし話し合いによる解決を前提としているため、訴訟などと併行して利用することはできません。
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個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律