業績不振→減給は許される?

景気が悪かったり、経営状態が一時的に悪化するなどして、会社の資金繰りが苦しくなる事があるのは仕方のないことです。

そしてそんな時、
「お金が無いんだから社員の給料も減らそう」
なんて考える経営者も少なくはないと思います。

会社の業績が悪化したときに労働者の給料が減額されることに関して、法律的な問題は無いのでしょうか?

不利益変更は原則として禁止

会社(雇用者)と労働者は労働契約によって結ばれているわけですが、給料をはじめとしてあらゆる労働条件はこの労働契約の要というべきものです。

そのため、会社の都合で給料を引き下げたり、各種手当てを減らすなど、労働者にとって都合の悪い変更、つまり不利益変更を行う事は原則として禁止されています。

つまり、会社が勝手に給料を引き下げたり、各種手当てを廃止するということは、法律上許されていないのです。

不利益変更には合意が必要

しかし、どんな場合にも給料の引き下げが不可能!というわけではありません。

例えば、会社が存続の危機にあるような状況で無理をして給料を支払っていたら、会社は倒産してしまうかもしれません。そうなれば当然、労働者も困るわけです。

給料を引き下げるためには、相応の理由と正当な手続きが必要になります

だから、客観的に見て止むを得ないような場合に限り、正式な手続きを踏んでいれば賃金の引き下げなどの不利益変更行っても違法とはなりません。

労働契約の変更

労働者が合意した上で、会社と労働者の労働契約が変更されれば、給料の引き下げも可能です。

就業規則の変更

就業規則によって規定されている手当てなどについては、これを変更する事で引き下げる事ができます。
就業規則とその変更条件については、『』をご覧下さい。

労働協約の変更

労働組合と会社の合意によって結ばれる労働協約の変更によっても、労働条件の不利益変更が認められます。

不利益変更の前提条件

繰り返しになりますが、会社(雇用者)が不利益変更を行う場合は、誰が見ても仕方がないと判断できるだけの理由が必要です。

だから例えば労働契約などで合意が成立している場合でも、
・給料引き下げの内容が不平等である
・「会社の業績悪化」というような不利益変更の理由が事実と異なる
というような事が後で判明すれば、過去に遡ってその変更は無効となる可能性もあるわけです。

ただし、給料を引き下げなければ会社が倒産してしまうような状況で、会社が平等かつ合理的な給料の引き下げを提案しきたような場合には、それを拒否するのは難しいと思います。

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-このページに関係する法律-
労働基準法第9条
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