退職届・退職願は撤回できる?
「退職する」ということを問答無用で言い渡す退職届。
「退職したい」という意思を知らせる退職願。
どちらも仕事を辞めるという意味では同じですが、場合によっては一度これらを提出した後に「撤回したい!」ということもあるでしょう。
果たして一度提出した退職届・退職願を撤回する事は法的に可能なのでしょうか?
合意が成立している場合は難しい
労働者が本心で退職したいと考えて退職届・退職願を会社に提出した場合、それが受理されて合意が成立してしまえば撤回は難しいという判断が一般的です。
それでも会社が労働者の「やっぱり退職したくない!」という意思を汲んでくれる可能性がゼロとは言えませんから、気が変わったときはできるだけ早くその意思を伝えるようにしましょう。
運がよければ人事部長や社長などの責任者に届く前に、届を差し止めることができるかも知れませんからね。
退職届・退職願が無効になるケース
しかし、どんな場合でも受理された退職届・退職願が有効かというと、そういう訳ではありません。
次のような場合は、届そのものが無効と判断されるのです。
強要された場合
退職する事を会社に強要されたり、会社の一室に拘束されたりして退職届・退職願を書くことを強要・命令されたような場合は、本人の意思によるものではないので届けが無効と判断されます。
なお、直接的に「退職しろ」と言われなかったとしても、それを促すような言動を繰り返されたりした結果として退職届・退職願を出した場合などは、本人の意志によるものではないと判断される可能性が高いでしょう。
騙された場合
これは例えば、
「君の業績ではもうすぐクビになるから、自分から退職した方が体裁がいい」
などと言われてそれが事実ではなかった場合や、
「会社が業績不振なので、人員整理のために退職して欲しい」
と言われたが、後で他の人を新たに採用している事が分かった・・・というような場合のことです。
これは言わば会社に騙されて退職届・退職願を出したことになりますから、その届けは無効と判断されます。
また、仮に「クビにされる」という情報が事実であったとしても
「会社に貢献できない既婚女性から優先的に人員整理を行う」
というように、前提条件そのものが公序良俗に反するものであれば、やはり退職届・退職願も無効です。
一時的な感情による行動
「お前のようなヤツは今すぐクビだ!」
「ええ!いつでも辞めてやりますよ!」
というような口論の中で自主退職を承諾する書類に署名・捺印させられてしまったような場合は、専門用語で言うところの心裡留保(本心とは違う行動をしてしまっている)状態に該当するので、その合意は無効だと判断される可能性があります。
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