遅刻・欠勤への罰金は違法?
会社で働くには、ある程度の規律を守るのが当たり前。
正当な理由の無い遅刻や欠勤が社会人としての評価を下げるのは当然でしょう。
でも、「遅刻したら半日ただ働き」とか、「3回遅刻したら1日分減給」というようなルールを採用している会社などでは、実際に働かなかった時間以上に収入が減るという場合もあります。
「働いた分まで賃金が支払われないのは労働基準法違反じゃないの?」
なんて感じる人もいるでしょう。
果たして、会社が遅刻や欠勤に対して減給による罰金を課すことは労働基準法上の違法行為となるのでしょうか?
ノーワーク・ノーペイの原則
ノーワーク・ノーペイの原則とはつまり、働いた分だけ賃金の支払い義務があるかわりに、働かなかった分については無給としてもよいということです。
「産前・産後休暇(休業)とは」や「介護休暇(介護休業)とは」を見ても、「自己都合で休んでいる間の賃金は支払わなくてよい」というのが法律の原則だと判断できるでしょう。
仮に1時間だけ遅刻した場合に1時間分賃金が減らされたり、1日だけ欠勤した場合に1日分の賃金が減らされたりすることは自業自得。ノーワーク・ノーペイの原則に則っているので合法とみなされます。
罰金には就業規則が必要
しかし、実際に働かなかった分を超えて罰金を課す場合、例えば1時間遅刻して半日無給になるような罰則を与える場合には、就業規則による定めが必要です。
これは必須条件ですから、就業規則上の根拠もなしに減給すれば当然労働基準法違反となります。
自分の会社に罰金として減給が行われているという場合は、必ず就業規則を確認しておきましょう。
ペナルティに対する法律上の上限
就業規則に明記されている場合でも、好き勝手に厳しい罰金を定めてよいというわけではありません。
減給については労働基準法で次のような制限が定められています。
・1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと
・総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えないこと
つまり、遅刻した場合でも1日の賃金の半分まで、1ヵ月の賃金が30万円の人なら月の総額で3万円までなら就業規則の定めさえあれば合法と判断されるわけです。
ただし、就業規則を定めたり改訂する際には労働者側の合意が必要ですから、場合によっては就業規則だけでなく、その就業規則が定められた経緯についても確認する必要があるでしょう。
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労働基準法第91条