懲戒処分とその種類
「懲戒免職」などという物騒な言葉を、誰でも一度くらいは聞いた事があると思います。
懲戒処分というのは、簡単に言うと労働者が問題行動を起こした時に会社が罰を与える事ですが、その内容にはいくつかの段階があります。
予備知識として、懲戒処分の種類をまとめてみましょう。
戒告・譴責
戒告(かいこく)と譴責(けんせき)はほぼ同じで、懲戒処分の中では最も軽い部類に入ります。
言葉の意味としては「つよく戒める、厳しくしかる」というような感じで、いわば将来的に問題行動を起こさないように厳重注意するということです。
学生に例えるなら、反省文を書かされるというイメージになるでしょうか(笑)
減給
減給は読んで字のごとく、給料を減らされることです。
ただ、会社は好き勝手に減給の額を決められる訳ではなく、1回の減給額は1日の賃金(平均賃金)の半額、月給制なら1ヵ月の減給額は10%までというように上限があります。
「遅刻したら半日ただ働き」というような罰則も、減給処分に該当する事になります。
出勤停止・停職
これも読んで字のごとく、会社に来る事を禁止するということです。
休日や休暇とは違って罰として休む事になるわけですから、給料は支払われません。
また、出勤停止や定職となって給料が減った分に関しては、上に書いた減給処分のように、「減給額はら給料の総額の10%まで」というような制限もありません。
つまり、半月の出勤停止になれば、その月の給料は半分になっても違法ではないということです。
ただし、労働契約は結ばれたままになっていつので、例えば機密保持のような社員としての義務や、社会保険などの権利については無くなりません。
降格
降格は労働者のランク(職位)を下げる事で、部長→課長に降格とか、係長→主任に降格というものがこれにあたります。
多くの会社では管理職のランクが高くなるごとに給料が上がるようになっていますから、降格は事実上の減給を含んでいるといっていいでしょう。
ただし、降格は減給そのものではないので、職位によって給料の金額が変わらないような会社では、「降格」によって減給することはできません。
諭旨退職
諭旨退職(ゆしたいしょく)は労働者に対して自分から退職するように告げることです。
「諭旨」という日本語には「理由をさとし告げる」という意味がありますが、これに従わないと次の懲戒免職になるので、実質的には懲戒免職とほぼ同じということになります。
ただ形としては「自分から辞めた」という扱いになるので、経歴につく傷は多少小さくなるでしょう。
懲戒免職
労働者をクビにするという最も重い処分です。
通常の解雇と違って事前に予告したり解雇予告手当てを支払う必要が無く、多くの場合は退職金が支払われなかったり、減額されたりします。
ただし、処分の内容が厳しいだけに、よほどの理由がないと法的に正当とみなされない処分でもあります。
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