派遣社員に関する法律知識2
前回に続いて、派遣社員として働く場合に知っておくべき法律についてまとめてみます。
業務請負や出向との違い
自分の所属する会社から別の会社に出向いて仕事をするからといって、必ずしも全てのケースが派遣労働となるわけではありません。
例えば、会社が請け負った業務を行う場合に必要に応じて客先の企業に出向いても、これは派遣ではなく業務請負に該当しますし、関連会社などに籍を移して働くような場合は、出向と呼ばれる働き方になるでしょう。
派遣労働であることを判断するにあたって一番簡単に判断できるのは、労働契約をどの会社と結んでいるか?という点です。
派遣労働の場合は就業先野会社ではなく、派遣会社と労働契約を結ぶことになりますので、これは簡単に判断できるでしょう。
その上で、下記の条件に該当すれば法的には派遣労働と判断されます。
指揮・命令の権限が就業先の会社にあること
具体的には人員の配置や勤務日・休日の指定、仕事の進め方に対しての指示や作業スケジュールの調整、仕事に必要な教育などの具体的な指示が就業先の会社よってされていれば、それは派遣労働です。
就業先の会社の設備・機器を使って仕事をしていること
業務請負の場合は業務上必要な簡易な工具や文具のようなものを除いて、就業先企業の管理する設備や機器を使うことは出来ません。
仕事の内容にもよりますが、就業先の会社の設備・機器を使って仕事をしている場合は業務請負ではなく、派遣社員と判断される可能性が高いでしょう。
派遣労働にまつわる違法行為
次に、派遣労働を悪用した違法行為として典型的なものを列挙してみましょう。
偽装請負(偽装派遣)
実際には「労働力を提供する」という性質の派遣労働であるにも関わらず、「会社が請け負った仕事を遂行する」という業務請負を装うことによって、法律上の義務などを放棄しようとする行為です。
偽装請負(偽装派遣)についての詳しい情報は「偽装請負・偽装派遣にご用心」をご覧下さい。
二重派遣(多重派遣)
他の会社から派遣された人員、を更に他の会社に派遣社員として派遣する行為です。
これが行われると派遣社員は、2重、3重にマージンを搾取されるため、労働条件が著しく悪化します。
直接雇用申し入れ義務違反
派遣労働は原則として短期間の間の労働力を目的としたもので、長期間にわたって派遣会社が利益を吸い上げたりしないよう、一部の専門的な職種を除いて派遣期間に制限があります。(一般的には3年)
本来はこの期間を超えて労働者を雇う場合は、派遣会社を通さず直接労働契約を結ぶ事を労働者に申し入れる義務が発生するのです。
しかし残念ながら、この義務を無視していつでも契約を切れる派遣のまま労働者を働かせようとする会社も多いようです。
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労働者派遣法