全く違う仕事に配属された!

仕事の内容は、数ある労働条件の中でも最も重要なものの一つだと思います。
収入が少なくても、ちょっとくらい苦労が多くても「希望の仕事に就きたい」と考える人は沢山いるでしょう。

しかし、やっと希望の職種で採用されて働いていたのに、ある日人事異動などで全く違う仕事に配属されたとしたら、そのショックは計り知れません。

営業職として入社したのに清掃係をやらされたり、事務員として派遣されたのに肉体労働ばかりやらされたりすれば、「話が違うんじゃないの?」と思うのも当然です。

さて、採用された時の職種と全く違う職種への配置転換は、法的に認められるのでしょうか?

まずは契約時の労働条件を確認

労働法では、会社(雇用者)に対して、労働契約における労働条件の明示を義務付けています。

ですから、「こんな仕事をさせるのは契約違反では?」と思った時は、まず労働契約の詳しい内容について把握する必要があるでしょう。

特定の仕事だけを行うという条件で契約を結んでいる場合、労働者の同意無しに他の仕事をさせれば契約違反ということになります。

業務内容の異なる仕事への配属には、契約上の裏づけか労働者本人の同意が必要です

ただし、多くの企業では顧客との窓口として営業職、契約や人事管理を行う事務職、製造業務を担当する技術職というように、1つの会社でも複数の仕事を持っているのが普通です。

このため特に大きな会社では、社内での配属先を自由に変更できるような条件で労働契約を結んでいることと思います。

ちなみに、労働条件が契約内容と異なる場合、労働者にはその場で労働契約を解除する権利が生まれます。

派遣の場合は?

派遣社員として仕事をしている場合も、労働者の権利に変わりはありませんが、労働契約以外の仕事に配属される場合の「原因」としては次の2つが考えられるでしょう。

1.派遣会社と派遣先の間ではきちんと契約が結ばれているが、それが労働者に伝わっていない場合
2.派遣先が派遣会社との契約を無視して、勝手に労働者に対して他の仕事をさせようとしている場合

ただ、どちらの場合でも改善を要求する先は派遣先ではなく派遣会社の方です。これは原因が派遣先の会社にあったとしても、それに対して対応するのは派遣会社の役目だからです。

配属の変更と安全への配慮義務

業務全般が契約時の仕事の範囲内となっている場合でも、会社は労働者の配属先を決める上で安全に配慮する必要があります。

例えば腰痛を持っている人や妊婦さんに力仕事中心の仕事をさせたりすれば、法律上の問題だけでなく人道上も許されないのは明らかです。

中には強引に自主退職させるためにこのような手段が取られる場合があるようですが、健康上問題が考えられるのならガマンして耐えたりせず、医師の診断書などの裏づけを用意した上で環境の改善を申し入れるようにしましょう。

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-このページに関係する法律-
労働基準法第15条
労働安全衛生法第3条
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