専門業務型裁量労働制とは?
仕事の中には、単純に「○○時間働いたから○○円」という計算方法だと、実際の業績と報酬のバランスが取れないタイプのものがあります。
そして、これに対応するために法律ではみなし残業、つまり時間を厳密にカウントするのではなく、月の労働時間をあらかじめ規定しておいて、それに合わせて給料を支払う裁量労働制という仕組みを認めています。
今回はこの裁量労働のうちの一つ、専門業務型裁量労働についてまとめてみましょう。
専門業務型裁量労働制の対象となる仕事
専門業務型裁量労働制の対象となるのは、下記のような仕事です。
(このページでは代表的な事例のみ紹介しますので、詳しくは厚生労働省のサイト等でご確認ください。)
・商品や技術などの研究開発の仕事
・デザイナーの仕事
・ソフトウェアの開発やシステム分析の仕事
・TV番組の制作指揮(プロデューサ)の仕事
・弁護士や税理士、経営コンサルタントの仕事
・記事の取材や編集、コピーライティングの仕事
基本的には専門分野に特化していて、何時間も頑張っても成果が上がらない場合もあれば、逆にやり方によっては短時間で仕事を終わらせられる仕事に限定されているのが分かるでしょう。
逆に言えば、これらの仕事に該当しない限り、専門業務型裁量労働制を導入するのは違法ということになります。
時間配分の「裁量」がある場合に限る
「みなし労働時間とサービス残業」でも触れましたが、裁量労働というからには労働者に労働時間をある程度コントロールする権限を与えておかなくてはなりません。
そもそも裁量労働というのは、「今日は実験のために徹夜するけれど、明日は朝の打ち合わせだけですぐに帰宅する」というような柔軟な働き方に配慮してこそ存在する意味があるからです。
従って、
「定時に出勤して定時まで会社にいる必要がある。」
「業務時間や仕事の進行はリーダーのSEが管理している。」
「編集の仕事と事務作業を掛け持ちしていて、勤務時間が自由にならない。」
というような場合は、専門業務型裁量労働制による給料の計算は適用できません。
最近はこの点を無視して「専門業務型裁量労働制だから残業代は支払わなくても良い」という間違った解釈でサービス残業をさせている会社もあるので、くれぐれも注意してください。
(管理人へのご連絡は不要です)
労働者派遣法第38条