偽装請負・偽装派遣にご用心

偽装請負とは偽装派遣とも呼ばれ、実際は人材を派遣して利益を得ているにも関わらず、業務請負など別の契約形態で労働者を働かせることを言います。

今回はこの偽装派遣について、その仕組みと問題点を確認しておきましょう。

偽装請負・派遣のしくみ

そもそも業務請負とは、会社単位で仕事を請け負うことです。
例えば大きな建築会社が、自分の会社で受注した住宅の建築を、別の小さな工務店などに依頼する場合がこれにあたります。

この場合、締め切りや仕事の報酬額など大まかな部分に関しては注文主である建築会社との契約で決まっていますが、実際に家を建てる時に何人の大工さんを雇うか?どんなスケジュールで進めるかといった細かい部分に関しては工務店に任されることになります。

通常の業務請負では、仕事を請け負った会社が労働者を管理します。

そして、この工務店に雇われた大工さんは工務店の指示を受けながら仕事をすることになるでしょう。

これに対して業務を請け負った工務店が大工さんを建築会社に出向かせて、建築会社の指示の元に働かせると偽装請負になる可能性があります。

偽装請負では、発注元の会社が労働者に直接命令を下します。

偽装請負・派遣の問題点

ただ労働者が仕事を請け負った会社に働きに行くだけなら一見問題は無いように思えますが、事はそう簡単ではないのです。

労働基準法が適用されない場合がある

偽装請負の場合、労働者は実際に命令を下す会社と直接は何の労働契約もしていないので、労働基準法が適用外になってしまいます。

つまり派遣された会社としてはどんな劣悪な環境で労働者を働かせようと、責任を取る必要が無いということになります。

許可の無い労働者派遣が行われる

労働者を客先に派遣する会社は人材派遣業としての許可を得る必要がありますが、業務請負であればこの許可が必要ないため、人材派遣業としての許可がとても下りないような酷い会社が、実際には労働者を派遣するということになります。

また、派遣が許可されていない業種に労働者を送り込む事も問題です。

労働者の報酬が不当に搾取される

業務請負の場合、一番はじめに仕事を発注した会社から仕事を請け負った会社がまた別の会社に仕事を発注し、それを受け取った会社がまた他の会社に発注・・・という場合があります。

これにより、偽装請負によって派遣された労働者は本人が全く知らないうちに何社もの会社に給料を搾取、つまりピンハネされてわずかな報酬しか受け取れないという結果になってしまうのです。

偽装請負では、本来受け取るべき報酬が搾取されてしまいます。

偽装請負・派遣を防ぐには

契約した会社以外に直接管理されながら仕事をするという実態がある場合、契約内容が何であれ派遣労働と判断されます。

客先の会社で仕事をするという条件で就職をする場合は、契約と仕事の内容を十分に確認するようにしましょう。

契約する会社が人材派遣業としての許可を得ているかどうか、残業代の支払など細かい条件がきちんと規定されているかどうか、派遣された会社からまた別の会社に派遣される(二重派遣)になっていないかなどの条件に目を光らせておくべきです。

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-このページに関係する法律-
職業安定法第44条
労働基準法第6条
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