みなし労働時間制とは
労働時間を提供する代わりに給料をもらうというのが一般的な労働者の働き方ですが、労働時間が把握しづらい一部の職種には、みなし労働時間という制度が適用される事があります。
今回はみなし労働時間の基本について確認しておきましょう。
みなし労働時間制の基本
「この仕事には大体○○時間くらい必要だから、細かい労働時間の計算はおいといて、1日あたり8時間働いた事とみなしましょう」
というのがみなし労働時間制という制度です。
みなし労働時間制が適用されるのは大きく分けると事業場外労働と裁量労働という2つのケースです。
事業場外労働
例えば一日の大半を客先回りなどに費やす営業マンの場合、会社や上司の目の届かないところで労働しているわけですから、労働時間を正確にカウントする事が困難です。
このように事業所外で仕事の直接的な命令・監督を受けずに働く場合はみなし労働時間制で予め決められた所定労働時間働いたと「みなす」事ができます。
ただし、事業外労働であっても仕事の進行を指揮・監督する立場の上司などが同行したり、あらかじめ行き先や業務内容などを具体的に指示されている場合、携帯電話などで命令を受けながら働く場合はこの制度は適用できません。
裁量労働
特殊な技術などを研究・開発している場合、仕事の進み具合によって日々の労働時間が大きく異なります。
映画やゲームソフトの製作に関わる労働者や、会社の事業展開そのものを取り仕切る労働者は、激務が続く事もある反面、仕事に区切りが付けばある程度まとまった休みが取れたりもします。
このように、いちいち指示を受けて働くよりも労働者の判断で自由に仕事を進めたほうが合理的な職種に関しては、その仕事を行うに当たって通常必要とされる時間を予め計算しておき、その時間分働いたと「みなす」事が可能です。
ただし、企画・製作などの仕事であってもチーム単位でプロジェクトを進める場合など、労働者個人に仕事の進め方に関する裁量が無い場合にはこの制度を適用できません。
みなし労働制と時間外労働
それでは、見なし労働と時間外労働の詳細について確認しておきましょう。
残業代はどうなる?
みなし労働時間制の場合、あらかじめ「○○時間働いたとみなす」わけですから、基本的には残業時間は「みなした」時間に含まれていることになります。
例えば定時出社・退社だと月に160時間労働になり、これを180時間働いたとみなす場合、20時間分の残業代が含まれていることになるので、会社は労働時間が180時間までの労働者には残業代を支払わなくても良い事になります。
ただし、労働者がみなした時間以上働いた場合はやはりその時間に対して残業代支払いの義務があるので、会社は労働時間の管理をしなくてよいという事にはなりません。
休日労働・深夜労働
会社との契約上の休日や深夜に関しては、もともと労働時間として想定されていない時間です。
このため、みなし労働時間制を採用していても、休日労働・深夜残業の割り増し賃金は追加で支払う必要があります。
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労働基準法第38条