ウソの履歴書で就職したらクビ?

就職・転職をするときに企業に対して提出する履歴書。
単に自分自身の経歴を伝えるというだけでなく、書類選考などでは直接合否に関わってくる非常に重要な書類です。

さて、少しでも採用される確率を上げようと履歴書にウソの情報を書いて提出して、これが後でバレた場合、クビになったり何らかの処分を受ける事になるのでしょうか?

嘘の記載そのものは罪にならない

法律上での話に限って言えば、履歴書や職務経歴書のような書類は嘘の情報を書いたことそのものが罪に問われるわけではありません。

極端な話ですが、中学しか出ていない人が「東大卒」と書いても、ニートだった人が「営業部長として3年間勤務」と書いても、それ自体が詐欺罪や私文書偽造などの罪になったりはしないということです。

採用条件に直接関わるかどうかが重要

しかし、履歴書に嘘を書いてその結果会社に損害を与えたり、その嘘の内容によって会社の判断を惑わせた場合、当然のことながらそれは懲戒処分を受けたり、損害賠償を請求されたりする可能性は十分にあります。

虚偽の記載は懲戒処分や損害賠償の対象になる可能性も

例えば履歴書に「宅建(宅地建物取引主任者)の資格を取得済み」と嘘を書いて不動産関連の会社に就職したり、「管理職としての経験がある」と嘘の職務経歴を提出して、実はその仕事を行なう能力が十分に無かったりすれば、会社は明らかにその被害を被っている被害者ということになります。

逆に「勤続年数を少しだけゴマかして書いた」とか、「経歴を多少大げさに書いた」という程度であれば、それが仕事に直接影響したという事実が無ければ解雇などの懲戒処分を行なうのは不当だと考えられます。

つまり、履歴書等に事実と違う内容を書いた場合に処分の対象になるかどうかは、その影響の大きさによって異なるということです。

過去の判例について

どれくらいのレベルの嘘が懲戒処分の対象になるかという部分については、過去の判例を見る限り、「ここまでがセーフ」というラインを引くのは非常に難しいと思います。

例えば、仕事に直接関わらない学歴を詐称していただけでも「採用条件として重要な要素である」ことが認められ解雇が正当と判断された例もあります。

そして逆に、犯罪歴があってそれを隠していたことを理由に解雇されたケースが「不当」と判断されるなど、その判断基準があまりはっきりしていません。

書類に嘘を書かない方が良いことは言うまでもありませんが、もしも事実と異なる記載が懲戒処分の対象になった場合は、まずはその処分が本当に妥当なものであるかどうかをよく考えてみて下さい。

そして「不当処分だ!」と感じたら、専門家に詳しい状況を説明して判断を仰ぐ必要があるでしょう。

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