社員寮の立退きを要求されたら

不景気の影響で少なくなってはいるようですが、それでも大きな会社には社宅や社員寮があることも少なくありません。

ところで社宅や社員寮に住んでいる場合、クビになったり辞めたりしたらすぐに出ていかなければならないのでしょうか?

社宅・社員寮は普通の賃貸契約?

実は、社宅や社員寮について直接規定している法律というのは存在しません。

つまり、社宅や社員寮をどのようなルールで利用するかということは、会社が定める規則や普通に借家を借りる場合の法律(借地借家法など)に従って決まることになります。

そして社宅や社員寮は、家賃相場や労動者が支払っている家賃などについて、何を基準に判断されるかが違ってくるのがポイントです。

相場に近い家賃を支払っている場合

住んでいるのが社宅や社員寮であっても、その場所の相場と同じかそれに近い家賃を支払っている場合は、普通の借家と同じようにじ借地借家法という法律が適用されます。

そして、借地借家法は一度契約を結ぶと、借りている側(住んでいる人)の権利が認められる範囲が大きいという特長を持っています。

具体的に言うと貸している側、つまり大家さんは、正当な理由が無いと立ち退きを求める事すらできず、きちんとした理由があっても半年前に予告が必要になります。

社宅や社員寮として使われている建物なら、雇用契約が終了することが「正当な理由」になるとは思いますが、それでも会社は短期間で労動者を追い出すことはできないわけです。

社員寮とはいえ、会社は簡単に入居者を追い出すことはできません

家賃が相場に比べて明らかに安い場合

福利厚生が充実している会社では、家賃の相場が5万円なのに、社宅や社員寮に住むための費用が一万円、なんていうこともよくあります。

これは普通の賃貸契約ではあり得ないことで、極端に言えば労動者が会社の施設に居候しているようなものです。

この場合は借地借家法の適用を受けないので、ある程度は会社が自由にルールを決めることができます。

ただしこの場合も、借りている人に大きく不利にならないよう「すぐ出て行け」というのは認められないことになっています。

過去の判例では、公務員が国が提供する宿舎に住んでいる場合と同じように、
・無料で住んでいる場合・・・60日程度
・少額でも家賃を払っている場合・・・最大で6ヶ月程度
というあたりを基準に、一定の猶予期間を設けるべきとしているようです。

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-このページに関係する法律-
借地借家法27条
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