解雇・定年と賞与支給日の関係

ボーナスが支払われる会社の中には、ボーナス支給の条件を「支給日に会社に在籍していること」と定めているところがあります。

これは支給日在籍要件などと呼ばれていて、ボーナスが給料の後払い的な制度ではなく、あくまでも会社の利益を還元するものとして支払われている場合は、特に違法というわけではありません。

しかし、このような取り決めがある場合に問題になってくるのが、自分自身で退職日を選べない場合、つまり会社都合による解雇などによってボーナス支給日に在籍することが許されなかった場合です。

自己都合ではない理由でボーナスの支給資格を失う場合について、法的にはどのように判断されるのでしょうか?

会社都合による解雇とボーナスの支給

まず、会社都合による解雇の場合、そもそも解雇理由が正当なものでなければ、解雇そのものが法的に無効になり、それによりボーナスの不支給もNGとなることが考えられます。

会社がボーナス支給日前に労働者を解雇する場合、それなりの補償が必要であるという考え方が一般的です

それでは、深刻な経営難による整理解雇など、妥当と認められるような理由があった場合はどうでしょうか?

普通に考えれば、ボーナスの査定などの対象となっている期間に働いているにも関わらず、会社の勝手な判断でボーナスが全く支給されないのは不公平だという結論に達するでしょう。

それに、もしも自分で退職日を選べない労働者に対して支給日在籍要件が完全に認められるとすれば、会社は意図的にボーナス支給日前に社員を辞めさせるというような手口が横行することになりかねません。

このため、多くの専門家の意見や過去の判例を見る限りでは、会社は解雇する社員の在籍日数等に応じて、一定の割合でボーナスを支払わなければならないと判断されるケースが多いようです。

また、自己退職の場合でも会社の都合でボーナスの支給日がズレた場合などには、支給日在籍要件の採用が違法と判断される確率が極めて高いと考えられます。

定年退職とボーナス支給

定年退職の場合も自分の都合で退職日を選べないという意味では解雇とほぼ同じです。

極端な例ではありますが、例えばボーナス支給日が12月1日と定められていて、1月に定年を迎える人にはボーナスが満額支払われ、逆に11月末に定年となる人には支給しないとなればあまりにも不公平です。
従ってこのような規則が社会通念上認められることは無いでしょう。

ただし、ボーナスには「将来の労働への期待」という意味での金額が加算されていると考えられているので、定年を迎える人に対してはかなり割り引いた額の支給となる場合もあります。
このような減額に関しても、その根拠が合理的で、なおかつ全員に平等なものであれば、法律上問題ありません。

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