懲戒解雇(免職)に必要な条件
会社で大きなミスをしたり、規則に従わなかった事により迷惑をかけてしまったりすると、待っているのは懲戒処分。
そして懲戒処分の中でも最も重いのが懲戒解雇(免職)です。
この懲戒解雇、一般的にはどのような場合に下される処分なのでしょうか?
今回は、「どれくらいの不祥事を起こした場合に懲戒解雇が妥当と判断されるのか?」ということについて考えてみたいと思います。
懲戒解雇とは?
まずは懲戒解雇の普通の解雇と違いについて見てみましょう。
上の図の通り、ごく簡単に言えば、普通の解雇が
「君は来月でクビだけど、退職金は払うから。」
という感じなのに対して、懲戒解雇は
「今すぐ会社から出て行け!退職金は全額カットだ!」
というように、労働者にとって更に厳しい扱いになることが多いという特長があります。
具体的な懲戒解雇の必要条件
上記の様に懲戒解雇は普通の解雇よりも厳しい処分なわけですから、普通の解雇よりもずっと厳しい条件に当てはまらない限り合法とはみなされません。
具体的な条件としては労働基準監督署が過去に出した「通達」が参考になると思いますので、一つずつ確認してみましょう。
職場で犯罪に相当する行為を犯した場合
一つ目は、
「原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取横領、障害等の刑法犯に該当する行為のあった場合」
です。
誰かを殴って怪我をさせたり、お金を盗んだりすれば、この条件に当てはまるでしょう。
賭け事をしたり、風紀を乱した場合
二つ目は
「賭博、風紀素乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合」。
ここでいう賭博とは、例えば社内で大規模な賭場を開いていたとか、そういうレベルの話でしょう。風紀素乱というのは重度のセクハラ事件を起こしたような場合が相当すると思われます。
ウソの経歴等で採用されていた場合
「雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合」です。
「タクシーの運転手として採用されたのに実は免許を持っていなかった」というように、採用のための必須条件などの満たしていなかったようなケースはこれに当てはまります。
転職した場合
「他の事業へ転職した場合」
これは簡単ですね。
夜のアルバイト等ならともかく、他の会社の社員となってフルタイムで働いているような場合は、どう考えても職務を果たせるわけがありません。
無断欠勤が続いた場合
「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」。
これは注目すべき項目です。
無断欠勤は、これくらい酷い場合でなければ、即懲戒解雇には出来ないと考える事ができるでしょう。
つまり就業規則に「連続して2日無断欠勤した場合は懲戒解雇とする」なんて書いてあったとしても、法的には無効と判断される可能性が非常に高いです。
勤務態度が改善されない場合
最後の一つは
「出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合」。
必ずしも連続して無断欠勤をしなかったとしても、何度も無断欠勤を繰り返していて、状況が改善されないような場合は懲戒解雇される可能性があるということです。
懲戒処分の重さを決める要因
懲戒処分の重さは一回あたりの不祥事のレベルだけでなく「何回繰り返したか」「改善されているか」ということも重要な要素になります。
言い換えれば小さな事でも繰り返していると処分は重くなるかもしれないという事です。
基本的には「コレをやったら懲戒解雇!」という絶対条件があるわけではなく、個々の状況によって判断基準が変わるものと言えるでしょう。
(管理人へのご連絡は不要です)
労働基準法第20条
労働契約法第16条