健康診断の実施義務について
社会人になると、体を動かす機会が少なくなったり、残業などで生活のリズムが不規則になったりすることが多く、どうしても体を壊す確率は上がってくると思います。
そして社会人が自分の健康状態を知る最も一般的な機会は、何と言っても会社で行われる健康診断でしょう。
それもそのはず、会社には雇い入れている労働者の健康管理の一環として、定期的に健康診断を受けさせる義務があるのです。
健康診断の対象範囲
まず、正規雇用されている労働者、つまり正社員については全員が健康診断実施義務の対象になります。
また、契約社員などの場合は契約の更新によって1年以上の雇用が見込まれる場合、アルバイトやパートとして働いている場合でも1週間の労働時間が社員の4分の3以上あるときは、社員と同様に健康診断の対象になります。
派遣社員の場合、直接労働契約を交わしているのは派遣先の会社ではなく派遣会社になります。
従って健康診断の実施義務も派遣会社が負うことになりますが、派遣先が大きな会社だったりすると、派遣先の社員と一緒に受診できることも多いようです。
健康診断の実施頻度
健康診断を行うタイミングとして基本になるのは雇用時、つまり入社した時と、そこから1年以内ごとの定期検診です。
ただし、有害な化学物質を扱ったり、深夜労働が基本となる職業の場合は特定業務・有害業務という仕事に分類されます。
このため、定期検診の最低実施頻度が6ヵ月以内に短縮されたり、基本的な健康診断に無い項目の検査を行わなければならない場合もあります。
特定業務・有害業務に関しては、厚生労働省の労働基準法施行規則第18条に関する記述をご覧ください。
なお、健康診断の対象となっている労働者が、健康診断を受ける日から過去3ヶ月以内に健康診断を受けていて、なおかつその結果を書面で提出できる場合には、実施を省略する事も認められています。
会社の規模と健康診断の関係
健康診断を実施する義務は、例えば「従業員何名以上」とか、「会社の資本金が○○円以上」といったように、会社の規模によって決まるものではありません。
小さな会社であっても人を雇い入れれば、大企業と同じように健康診断を受けさせる義務が発生するということです。
費用は誰が負担する?
法律には「誰が費用を負担すべきか?」ということに関しての記述がありません。
しかし、会社に健康診断を実施する義務が課せられている以上、費用も会社が負担すべきというのが一般的な解釈になっているようです。
また、健康診断を行っている間の時間に対して給料が払われるかどうかについても特に法律の定めがありません。
ただし、上記の特定有害業務に該当する職業の場合は、仕事が直接的に健康を害する可能性があるため、健康診断の時間=労働時間としなくてはなりません。
(管理人へのご連絡は不要です)
労働安全衛生規則第43条
労働安全衛生規則第44条
労働安全衛生法第66条