業務命令違反は懲戒になる?

会社で働いていると、上司や先輩からいろいろな指示を受けることは日常茶飯事、中には納得できないものもあったりして、渋っていると「業務命令だ!」なんて強要されることもあるかも知れません。

さて、仕事でよく聞く「業務命令」ですが、これはどんな場合でも従わなければならないのでしょうか?

そして仮に業務命令を拒否した場合、やはり懲戒処分などの罰を受けなければならないのでしょうか?

業務命令とは?

まずは、そもそも業務命令とは何かということを整理しておきましょう。

会社で働くということは、労動者と会社の間に労働契約が結ばれるということです。

そして契約した上で会社に「労働」を提供してお金をもらう労動者は、会社から「どういう風に仕事をするか」を命令されたときに、これに従わなければならないという義務が発生します。

会社側から見れば、労動者に業務命令を下す権利(業務命令権)があるということです。

従って業務命令が正当なものであれば、それに従わない労動者は義務を果たしていないことになるので、懲戒処分の対象になることがあります。

ただし、業務命令は管理監督者、つまり労動者に仕事を指示する立場にある人から下されるのが普通です。

従って、先輩だからという理由で後輩に雑用を命じたり、課長だからというだけで別の部署のヒラ社員に本来の職務ではない仕事を命じたりすることは、正しい業務命令ではありません。

本来の命令系統から外れたところから出される指示は、厳密に言えば直属の上司などが「それに従いなさい」と認めることで、はじめて業務命令としての力を持ちます。

違法な業務命令は拒否できる

あたり前ですが、労動者と会社は契約を結んでいるだけの関係であって、「奴隷とご主人様」というわけではありません。

だから業務命令が有効になる範囲も、契約の上で認められたものだけです。

例えば、「路上駐車して営業活動をしろ」
というように従うことで法律に違反するようなことは当然無効です。

また、労働基準法や就業規則などに反する命令も無効ですから、過剰な残業や危険な作業などを命じることもできません。

業務命令として有効なのは、合法かつ合理的なものだけです

さらに、「明日から転勤しろ」というようにに労動者に多大な不利益を強いる命令、「気合いが足りないから腕立て伏せをしろ」「女なんだからお茶汲みしろ」というように、合理性がない命令を下しても全て無効となります。

業務命令違反と懲戒処分の関係

仮に労動者が業務命令違反になる行動を取ったとしても、懲戒処分などの罰はその行為に見合ったものである必要があります。

例えば「昨日の業務日誌を時間までに提出しなかったから降格!」
などという処分は、常識的に考えて妥当とは言えないでしょう。

また、人によって懲戒処分の内容が異なったりする場合も同様です。

「業務命令違反」はイジメや嫌がらせなどの口実に使われることも多いので、この点には注意が必要です。

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