備品購入の自己負担ってアリ?

世の中に「何の道具も使わないで行える仕事」というのはほとんど無いといっていいでしょう。
事務職なら文房具、セールスの仕事ならスーツや靴、工事現場などで働く場合なら安全靴やヘルメットなども必要になってくるでしょう。

このような備品の購入にあたって、会社が労働者に費用を負担させることは違法行為にあたらないのでしょうか?

明確な法的制限は無い

意外かもしれませんが、仕事に必要な備品を労働者自身に購入させても、それが直ちに違法行為になるような法律上の規定はありません。

備品を購入するための費用は、通勤のための交通費と同じように、給料の中から労働者が負担する形となっていたとしても、法律上は問題無いのです。

「備品の購入費用を会社が負担しなければならない」という法律上の規定はありません

就業規則への明示義務

しかし、何でもかんでも労働者負担にすることが自由なんていうことになったら、それこそ何のために働いているのか分かりません。

そこで、作業に必要な備品や器具などを労働者に負担させるよう定める場合は、就業規則にその内容を書いておかなければならないことになっています。

例えばノートパソコンや自動車などを自己負担で用意するとなると、労働者にとっては非常に大きな負担となるでしょう。

さすがに細かい文房具類などに関しては「大目に見てよい」というレベルかもしれませんが、就業規則による契約上の前提も無いのに労働者に大きな負担を強いるようであれば、違法行為と考えられます。

安全への配慮義務

例えば建設現場で働く場合のヘルメットや安全ベルト、粉塵の発生する向上で装着するマスクなどは労働者の安全を確保する上で必須なものと言えます。

ヘルメット

このような備品を労働者負担で用意するように命令して、事故や健康被害が起こっても自己責任というようなことを言われるようであれば、それは明らかに安全への配慮義務に違反している悪質な会社です。

企業としての姿勢

そもそも、企業が商売をして利益を得るためには、ある程度経費がかかるのは当然です。

道徳的に考えれば、明らかに仕事の上で必要になる備品などについては、会社が費用を負担して準備すべきだと思います。

会社を運営していく上での負担を労働者に肩代わりさせようとしたり、経営難などの理由で備品の経費すら出せないような会社で働くのは、労働者としてリスクの高い選択と言えるのではないでしょうか。

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-このページに関係する法律-
労働基準法第89条
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