会社が勝手に就業規則を作った
就業規則は会社で働く上でのルールブックのようなもので、会社だけでなく労動者にとっても非常に重要な存在です。
しかし、この就業規則が会社の都合だけで決められていたり、社員が知らないうちに会社の都合だけで作られたり内容が変更されていたりするケースがあるようです。
就業規則の一方的な制定・変更について、法的にはどのように判断されるのでしょうか?
会社は労働者の意見を聞く義務がある
「就業規則をどんな内容で制定するか?」という事に関しての最終的な決定権は、基本的に会社が持っています。
なので、極端に言えばその内容が労働基準法などの法律の版していない限り、会社は社員の反対意見を押し切って就業規則を決めてしまうことも(法的には)不可能ではありません。
しかし、それでも会社は就業規則を制定するにあたって、労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなくてはならないことになっています。
そして、労働組合や労動者から就業規則に関する意見があれば、その意見書を就業規則と一緒に労働基準監督署に届けなくてはなりません。
ですから会社が就業規則を勝手に作成したり変更したりすれば、それは違法行為ということになるわけです。
勝手な不利益変更は許されない
就業規則の決定権が会社側があるとは言っても、既にあるルールを勝手に変えてもOKというわけではありません。
例えば就業規則で決められている通勤手当をいきなり廃止したり、特に制度として書面で決められていなくても、今まで支払われていた退職金が大幅に減額されたりすれば、会社は無法地帯となってしまうでしょう。
このような労働条件の不利益な変更については労動者の同意か、その変更の内容が妥当と判断できるだけの正当な理由が必要になります。
これについては「労働条件の変更について」を参考にしてください。
就業規則による懲戒処分は?
就業規則には懲戒処分の条件や内容も含まれますから、もしも会社がその内容を勝手に決めていたとしたら、
「知らず知らずのうちに行っていたことが懲戒処分の対象になった・・・」
という事があるかも知れません。
懲戒処分の対象になった行為が例えば無断欠勤や横領のように、常識的に考えて問題となるようなことであれば、それなりの罰を受けるのは仕方がないと言えるでしょう。
しかし会社が就業規則の周知徹底を怠ったために、些細な行動が懲戒処分の対象になったり、就業規則の制定や変更前よりも重い処分を受けたとしたら、それは不当処分と判断される可能性が高いと考えられます。
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労働基準法第89・90条