派遣社員が使えない施設がある

同じ会社で働いていたとしても、直接雇用されている正社員や契約社員と派遣社員では福利厚生の条件が違うこともよくあります。

労働契約の形が違う以上、細かい部分に差があるのは仕方のない事かも知れません。

しかし、中には派遣社員に更衣室や社員食堂の使用を禁止したり、派遣社員は体調が悪くても医務室を使わせないなどの差別的な扱いを取っている会社もあるようです。

このような労働契約の違いを根拠にした差別について、法律上の問題は無いのでしょうか?

会社には均等待遇の努力義務がある

会社と直接労働契約を交わしている正社員や契約社員にしても、間接的に雇用されている派遣社員にしても、仕事をしている会社の業務に貢献しているという点では同じです。

それなのに、契約の形態が「派遣」だからという理由だけで、本来は共用施設であるはずの社員食堂や医務室などを使わせないというのは根拠のない差別であると言われても仕方が無いでしょう。

この点については労働者派遣法でも、
「当該派遣先に雇用される労働者が通常利用しているものの利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるように努めなければならない。」
として、会社の努力義務を定めています。

会社は、派遣社員が共用施設を利用出来るように努力する義務があります

努力義務には法律上の罰則はありませんが、少なくともこれを守らない会社は法律に反していることになるわけです。

また、派遣社員が利用できる福利厚生施設に関しては、派遣労働を開始する際に作成する労働条件明示書にも記載することになっています。

社員が特定の負担をしている場合は?

ただし、社員が加入している健康保険組合の保養所や、労働組合が一定の金額を負担して組合員に利用を許可しているスポーツ施設のような場所に関しては、少し扱いが異なる可能性があります。

受益者負担(使う人がお金を払うということ)から考えれば、その施設の運営のための費用を負担していない派遣社員が利用できないとしても「差別」とは見なされないでしょう。

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