同業への転職制限は有効?

転職を考える時は、それまでの経験や身に付けた技術を活かして似たような業種・職種の会社を候補に挙げることが多いと思います。

しかし、会社によっては機密情報やノウハウがライバル企業に渡る事を恐れて、同業他社への転職を制限している事があるようです。

これを 「競業の禁止義務」などと呼んだりしますが、これをこのような転職に関する制限は、法律上認められるのでしょうか?

同業他社への転職を制限することは出来るのでしょうか?

基本的には「職業選択の自由」優先

日本の憲法には「職業選択の自由」が記されています。
つまり、どのような仕事に就いて働くかということは労働基準法などの法律に定めるまでも無く、国民全員に与えられた権利というわけです。

このことから一般的には「同業他社への転職は認めない」などという条件が労働契約に記されていたとしても、これは違憲(憲法に反している)と判断され、無効になることが多いようです。

内容が合理的であれば認められる場合も

しかし、退職した社員によって社内の貴重な情報がどんどん同業他社へ流れてしまうようだと、情報産業などはスパイ合戦のような不正競争で溢れてしまいかねません。

このことから一定の条件の元であれば同業他社への転職を制限することが合憲と判断される場合があります。

会社が同業他社への転職に制限を設ける場合に必要とされる条件を挙げてみましょう。

転職を禁止する職種が限られていること

機密情報を扱えるような商品開発に関わる労働者や幹部クラスの労働者など、競業の禁止が合理的な範囲に限定されている事が条件となります。

転職を禁止する期間が制限されていること

例えば転職禁止期間を3年と定めるなど、職業選択の自由が制限される期間が限定的である事も条件の一つとなります。

転職を禁止する地域が特定されていること

日本国内だけに限定するなど、転職を禁止する場所を特定する事も、労働者の自由を確保するために重要です。

労働者に対して相応の代償があること

機密保持が必要な部署・職域に対しての手当ての支給など、労働者の自由が制限されることに対して相応の代償があるかどうかも重要なポイントと見なされます。

違反した場合はどうなる?

労働契約によって同業他社への転職が制限されていて、なおかつその内容が合理的であるにも関わらずこれに違反した場合はどうなるのでしょうか?

具体的には、退職金が大きく減額されたり、訴えられたりすることによって転職が取り消しになるといったことが考えられます。

転職に関して制限がある会社で働く場合は、契約の内容をよく確認しておく必要があるでしょう。

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-このページに関係する法律-
日本国憲法第22条
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