妊産婦・介護者と残業制限
労働基準法では年少者や妊婦さん、家族の介護が必要な労働者について、その残業時間をより少なくするように制限を設けています。
それぞれ、どのような制限があるのかについて確認しておきましょう。
妊産婦の残業制限
妊婦さんは法律上の言葉では妊産婦と呼ばれていて、妊娠中と出産後1年までの女性ということになっています。
ただし働かせてはならないことになっている産後の休暇(詳しくは「産前・産後休暇(休業)とは」を参照してください。)を除いて、残業時間の制限が必要な場合には会社に「残業を制限してください」という意志を伝えなければなりません。
妊婦さんが請求した時は、下記の全ての残業が禁止になります
妊婦さんの請求により残業が制限される範囲
・1日8時間を超える労働
・休日労働
・深夜労働
また、変形労働時間を採用している場合も、これが無効となります。
つまり、妊婦さんの場合は請求さえすればあらゆる残業を免除してもらえるということになるでしょう。
育児や介護を行う労働者の残業制限
育児や介護のために残業時間を制限して欲しい場合も、労働者は会社に申し出る必要があります。(黙っていては当然わかりませんので)
育児や介護を行う労働者の請求により残業が制限される範囲
・1ヵ月で24時間1年間で150時間を超える労働
しかし、この制限には「事業の正常な運営が妨げられる場合を除く」という抜け穴があります。
つまり会社がどうしても必要だと判断し、その理由が合理的である場合は労働者に残業の義務が発生してしまうという事です。
なお、育児や介護を行う労働者として認められる範囲については、「育児休暇(育児休業)とは」及び「介護休暇(介護休業)とは」をご覧下さい。
年少者の残業制限
最後に、年少者の残業制限についても追記しておきましょう。
法律上の年少者とは18歳未満、つまり17歳までの労働者を指します。
誰が年少者か?ということは年齢から判断できますので、残業を制限するにあたって本人の申し出は必要ありません。
年少者の残業が制限される範囲
まず、年少者に関しては健康上の問題から、原則的に残業が認められていません。
小規模の商業・サービス業で認められている繁忙期の労働時間延長についても適用外で、日によって労働時間を変則的に配分することができる変形労働時間についても1日の労働時間は8時間まで、週の労働時間は48までという制限があります。
さらに、下記の例外を除いて、深夜帯(午後10時から午前5時)の間に働かせる事もできません。
年少者の深夜労働が認められるケース
ただし、年少者に対しても以下のようなケースに関しては、例外的に深夜労働が認められています。
・非常災害などに対応しなくてはならないとき
・仕事の内容が農林、水産業、畜産業、保健衛生業・電話交換業務に該当するとき
・勤務が交代制になっていて、労働者が16歳以上の男性であるとき
・勤務が交代制になっていて、夜は10:30まで・朝は5:30からの時間に限定して労働者を勤務させるとき(労働基準監督署長の許可が必要)
(管理人へのご連絡は不要です)
労働基準法第36条
労働基準法第66条