単身赴任命令は断れる?

会社に入ってからずっと一つの場所で働ければ落ち着いた生活が出来て良いのですが、支社や本社以外の拠点がある会社ではそうもいきません。

勤務先の場所が変わることによって引越しを余儀なくされる可能性は常にあるからです。

特に結婚している人の場合は、妻または夫の仕事の関係や、子供の学校の都合などによって「転居するなら単身赴任」というようなツラい状況になってしまうこともあるでしょう。

単身赴任しなくてはならないような転勤命令について、法律ではどのように解釈されるのでしょうか?

夫婦同居の権利VS業務命令

家庭を第一に考えるタイプの人にしてみれば、「家族を会社の命令で別居させることなんで許されるのか?」と思うかもしれません。

確かに家族の生活に関して言えば日本の法律(民法)でも例えば夫婦は同居する権利と義務があることを認めています。

しかし、残念ながら法的な解釈では、会社に勤めている限り転勤は「予め想定されるもの」と考えられています。
従って、たとえ会社が転勤を命じたことによって単身赴任になってしまうような場合でも、労働者はそれを拒否することはできないという考え方が一般的です。

単身赴任になってしまうような転勤でも、断るのは難しいのが実情です

これには「家庭よりも仕事を優先して当たり前」という日本の社会文化も関係していると思いますが、単に配偶者や子供との別居になるというだけでは「社会通念上許される業務命令の範囲を著しく超えているとは言えない。」と判断されるようです。

単身赴任を断れる可能性があるケース

ただし、次のようなケースでは労働者が拒否することによって単身赴任となる転勤の命令を撤回させられる可能性もあります。

不当労働行為

当たり前の話ではありますが、転勤の命令が恣意的なもの、例えば業務上の必要性に基づくものではなく、悪意や不公平な判断によって下されたものである場合は、その命令自体が不当と判断されることになります。

単身赴任により生活が立ち行かなくなる場合

これは、 例えば病気の家族がいたり、障害や病気などによって常に介護が必要な家族がいて労働者本人が介護・看護をしないと生活が成り立たないような場合です。

さすがにこのようなケースでは労働者に「転勤を拒否するに足る事情がある」とみなされ、労働者の権利が業務命令の効力を上回ると解釈されることがあるようです。

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-このページに関係する法律-
育児・介護休業法第16条
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