派遣社員と有給休暇のルール
派遣社員というのは、派遣先の会社で働いていながらも、派遣会社との間にしか労働契約が結ばれていないという形になります。
そのため、有給休暇取得に関しても正社員や契約社員のような立場で働く場合とは微妙にルールが異なってくるのです。
派遣社員が有給休暇を取得する場合について、法律ではどのように決められているのかを簡単にまとめてみましょう。
派遣労働と時季変更権
労働者が「有給休暇を取得したい」と申し出たときに、基本的に会社がそれを断ることはできません。
「絶対休みたい日の出勤命令」にも書きましたが、会社にできるのは
「どうしてもムリだから別の日にして!」
という時季変更権を行使することだけです。
しかし、派遣労働の場合、派遣社員と派遣先の会社の間には労働契約が存在しないので、この時季変更権すら使うことはできないのです。
極端に言うと、派遣先の会社は仮に仕事に支障が出たとしても、派遣社員が「有給休暇を取ります」と言ったらそれを認めざるを得ないということです。
派遣先の会社にどうしても労働力が必要である場合は、派遣会社が別のスタッフを派遣してその穴を埋めるべき、というのが「労働力を現場に派遣する」という派遣労働の基本です。
時季変更権を使えるのは派遣会社だけ
派遣先の会社ではなく、派遣社員と直接労働契約を結んでいる派遣会社)なら、時季変更権を行使して「他の日に休んで」と命じることは可能です。
しかし、この場合も時季変更行使の理由は、派遣先の仕事とは関係ない派遣会社独自のものでなくてはなりません。
例えば、その派遣会社のたくさんの派遣スタッフが一度に有給休暇を取ろうとして派遣会社としての業務に支障がありそうなら、時季変更権の行使は可能でしょう。
しかし、
「派遣先の会社が忙しいと言っているから。」
というような理由ではNGです。
もちろん派遣社員として働くからには、派遣先の会社に多少は配慮する必要があります。
ですが、有給休暇取得の条件として「派遣先の了解を得ておくこと」とか「派遣先担当者の承認印をもらって申請書を提出」というような制度は、そもそも違法行為なのです。
有給休暇に関する違法な規則
最近は派遣会社に対しての風当たりも強くなってきているので、一般的には正社員よりも間に会社を通している派遣社員の方が、有給休暇は取りやすい状況にはあるようです。
ただし、それでも派遣先への貢献をアピールするためか、
「有給休暇は1ヶ月に日まで」
とか、
「必ず10日前に申請すること」
というような暗黙のルールを設けて、派遣社員に押し付けている場合があります。
派遣会社は派遣スタッフに支払われる報酬の一部を受け取って成り立っているわけですから、間違ったルールに関してはどんどん改善を主張していきましょう。
(管理人へのご連絡は不要です)
労働基準法第39条
労働者派遣法